ひとりの時間の使い方が分からない、は損ではない
研究上、しばしば肯定的な状態として扱われています。
予定がない日を、なんとなく「埋めなければいけない空白」として扱ってしまうことがあります。ここは、いったん分けて考えたほうが正確です。
solitude と loneliness は別のもの
関連して Long ほか (2003) Personality and Social Psychology Bulletin では、大学生を対象にした質問紙調査の因子分析で、ひとりの時間の経験が3つの次元に整理され、否定的だったのは loneliness の次元だけでした。 https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0146167203029005003
つまり、ひとりだから寂しい、という直結はしていません。寂しくなるのは別の条件が重なったときです。
選んだひとり時間と、押しつけられたひとり時間
では、何が引き金になるのか
孤独感の定義に戻ると、それは「望んでいる関係」と「いまの関係」のズレです(NASEM 2020)。ひとりでいること自体ではなく、ズレが見えたときに起きます。
そして、ひとりの休日がつらくなるのは、たいていその時間になにも起きなかったときです。何かが起きた日は、ひとりでも記憶に残ります。
ここで言う「何か」は、外出や成果でなくても構いません。音楽を1曲選ぶ、湯を沸かす、窓から見える色を3つ数える。誰かに説明できる大きさではなく、自分で始まりと終わりを見つけられる大きさなら、その時間を自分で選び直せます。
ひとり時間を決める3つの境界
- 時間——15分だけ、曲が終わるまで、と終点を置く
- 場所——椅子、窓辺、近所の明るい道など範囲を決める
- 共有——誰にも見せない、1人だけへ送る、公開するを自分で選ぶ
この3つは孤独感の治療ではありません。ひとりで過ごす時間を、周囲から与えられた空白ではなく、自分で選んだ短い区間へ戻すための境界です。
ひとつだけ起こす。
ひとり用のカードは、いちばん多い
ランディーの384枚のうち、お一人様で成立するカードがいちばん多くしてあります。「誰かと」のカードもありますが、そちらに寄せていません。
人に会わないと解決しない設計にすると、会えない日が失敗になります。そうしたくなかったので、ひとりで完結するほうを厚くしてあります。
- 「木漏れ日を見つけて、その下に3分だけ立とう」
- 「去年の今日のカメラロールから、1枚だけ選ぼう」
- 「中学生のころ一番聴いた曲を、いま流してみない?」
- 「今日いちばんどうでもよかったことを、1行で書こう」
どれも、誰にも見せなくて終われます。見せる相手がいることを前提にしていません。
誰かと話したい気持ちがある日は、ひとり用カードを続ける必要もありません。連絡する、公共の相談先を使う、外へ出て人のいる場所へ移るなど、必要な行動は人によって違います。ランディーは孤独感を診断せず、ひとりで過ごす選択肢を1枚にするところまでを担当します。
「ひとり用が多い」は、ひとりを理想にしているという意味でもありません。予定の調整や相手の同意がなくても始められるカードを厚くし、使える時間を増やすためのデータ上の方針です。二人や団体を選んだときは、その人数で成立するカードだけへ条件を切り替えます。
同じ人でも、ひとりを選びたい日と、選びたくない日は変わります。人数の初期値を性格や過去の履歴から推定せず、その都度選び直せるようにしています。